心理学にちょっと詳しくなれる小説6選

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心理学にちょっと詳しくなれる小説6選

知識を満たす男性

 

なんか以前にも似たような記事があったな…
ねずみ小僧jirokichi
ねずみ小僧jirokichi
ビアーザキャット
ビアーザキャット
心理学と言っても、専門分野や関わる角度は様々だにゃ。それを踏まえて今日は5冊の小説を紹介してみたいと思うにゃ
確かに今回は違った切り口で本を紹介しているな
楽しみだチュ
ねずみ小僧jirokichi
ねずみ小僧jirokichi

 

 

「逃亡くそたわけ」 絲山秋子 講談社文庫

出口に向かって歩く人物のシルエット

タイトルから刺激的なこの小説

どこから逃亡するの?

というとなんと

「精神科病院」

もちろんフィクションですが

「精神科入院」のイメージを

重たく感じている人にこそ

手に取ってもらいたい作品です。

著者は別の作品で

芥川賞を受賞されている有名作家ですが

実際に闘病経験があることを

オープンにされています。

だからなのか

「逃亡」はさすがにフィクションとはいえ

小説内に出てくる

「薬に関する会話」

などは真に迫るものがあります。

「精神科」「入院」という単語に

敏感に反応してしまう方に

こそ読んでいただきたい

笑っていい

そんな小説です。

 

 

 

「イン・ザ・プール」 奥田英朗 文春文庫

精神科の診察のイラスト

もうひとつ精神科

こちらはクリニックへの

通院をイメージした短編集です。

作品ごとに悩みの違う

個性的な患者さんが登場します。

この作品はドラマ化もされていて

気軽に読めますし

出てくる人たちの悩みも

人間らしくて

とっつきやすいように感じます。

様々な病名のつく患者たちに

コミカルな精神科医師が

奇想天外な解決策を提案。

これもまたフィクションですが

「ばかばかしくて笑っているうちに

いつの間にか治ってしまう」

というスタイルは夢があって

いいなと思います。

人気作品で

続編の「空中ブランコ」は

直木賞を受賞しています。

 

 

「チルドレン」 伊坂幸太郎 講談社文庫

家族のイラスト

「家庭裁判所調査官」という仕事

知っている人も

知らない人にもおすすめの一作です。

「家裁調査官」は

心理学を学んだ学生に

最も人気のある公務員で

倍率の高い仕事だと言えます。

どんな仕事なのか詳しくは

ぜひ読んでみてくださいね。

「家裁調査官」と呼ばれる主人公たちが

非行を犯した少年たちに

彼らなりのかかわり方をし

いつの間にか少年たちも

読んでいる読者も癒されてしまう。

さすが希代のストーリーテラー

伊坂幸太郎さんの作品です。

ちなみに…先におススメした

絲山秋子さんについて

この伊坂幸太郎さんが

「小説なんて別に人生で

読んでも読まなくてもいいけれど

もし誰かが一冊読みたい

それも面白いものを

というなら僕は絲山秋子さんか

佐藤正午さんを勧める」

と以前語られていました。

伊坂さんのファンなら

絲山さんの作品もぜひ!

 

 

「臨床真理」 柚月裕子  角川文庫

足跡を追いかける探偵のシルエット

 

最後におススメするのは

ガラッとテイストを変えてミステリーです。

「臨床心理学」と「真理」

の字が違うところがもう

ミステリーっぽいですよね。

この作品は「臨床心理士」が主人公です。

そして「共感覚」の持ち主である

少年が登場します。

「共感覚」

これも心理学のテーマに入る現象です。

「文字に色を感じる」「声に匂いを感じる」

などなど

「通常感じる以外の感覚を

ひとつのものから感じてしまう」

そんな現象です。

実はこの共感覚の持ち主

世の中には予想以上に

多いと言われています。

「すごい」「天才」

と思われがちな人々ですが

それゆえの苦悩に

心理士がどうかかわるのか

ミステリー以外の要素にも

惹き込まれること間違いなしです。

 

 

 

「妻を帽子とまちがえた男」 オリヴァー・サックス ハヤカワ文庫

もつれ線形記号のイラスト

タイトル通り

妻と帽子の見分けがつかなくなった(!)

男性が主人公の実話です。

脳の損傷等により言葉が出なくなる

「失語症」は有名ですが

このタイトルのような症状は

「失認」と言われます。

これらの主に脳の損傷によって

もともとあった機能が失われる

症状についての研究をする分野は

『神経心理学』と呼ばれています。

「え、医者の仕事じゃないの?」

と思う方も多いかもしれませんが

これも心理学者の活躍する

れっきとした『心理学』の一分野です。

 

人物のシルエットのイラスト

この小説は

ノンフィクションの短編が

たくさんつまったものです。

タイトルのような症状の他にも

多種多様

驚くような症状の人々が登場します。

著者は、自分の本を

『啓蒙書』として位置づけていて

「本をきっかけにいろんな病気・

症状があること」

「いろいろな世界の見え方があること」

を知ってもらえたら、

と考えている方です。

 

啓蒙書というだけあって難しい分野の話を

とても平易に読みやすく

仕上げてくれているので

私は「もっと知りたい!」

とまんまと術中にはまってしまいました。

 

また同著者の『レナードの朝』という

作品は映画にもなっていますので

そちらもおすすめです。

 

 

「ビューティフル・マインド」 シルビア・ナサー 新潮文庫

数学者のイラスト

ご存知の方も多いかもしれませんが

映画化されました小説です。

統合失調症を病んだ

数学者ジョンナッシュという

実在した人物の話です。

実際に私が精神科で仕事をしていても

同様に数式などを自分のノートに

びっしりと書きなぐっている

利用者さんを見かけます。

映画でも描かれていましたが

「自分だけが世紀の大発見に

気が付いてしまった」

というあの感じ。

誰かが自分のことを

付け回しているに違いない

というあの焦燥感。

とてもリアルに描かれておりました。

そして病気のリアルさだけでなく

家族愛など訴えてくることが多い物語でした。

映画もおすすめです。

まだ読んでいない方

見ていない方は是非どうぞ。

 

 

最後まで記事を読んでいただき

ありがとうございました。

thank you の文字